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中古自転車業界への荒波
Posted Date:2016/08/31(Wed) 06:04
月曜日に中古自転車価格の引き下げについて告知させていただきましたが、今日はその背景や現状について、少々書かせていただきましょうかね。
まず、今は時期的にも宜しくないという事情もあります。
主要な消費地である東南アジアは、需要が低迷する雨季の真っ最中です。
例年、これだけでも価格が低迷しやすい時期です。
それに加えて、何度かこのブログでもお話いたしましたが、中国製の新品がすさまじいほどのダンピング攻勢をかけてきている。
さらに世界経済が良くない。
「世界経済が良くない」という表現をもう少し具体的にすると、「お金の循環が良くない」と申し上げるのが良いかな?
代金の回収が滞りがちで、手付金をはじめとした前金が出てきにくい状況にあり、結果として商品の回転サイクルに悪影響を与えている・・・というところでしょうか?
中国製新品のダンピングや、お金の回転の問題については、東南アジアだけの問題ではありません。
中東、アフリカ方面からも同様のレポートが上がってきており、世界的な問題というか、業界全体の問題というか、とにかく逃げ道がない状況ですね。
私は中古自転車のことをよく話題に取り上げておりますが、ウチが自転車に力を入れているからという理由ではありません。
中古自転車という、ある意味中古製品業界を代表するアイテムを通じて、各国の通関事情やニーズ、景気や経済の動静を分析、紹介しているとご理解くださいね。
自転車でクリアできない問題があるなら、他の商品では絶対にクリアできない。
自転車を通じて、人脈、情報、マーケット開拓などが出来ないなら、他のビジネスは不可能。
ちょっと抽象的ですが、そんな考えです。
だから中古自転車情勢を深く掘り下げるという事は、中古製品輸出だけにとどまらず、「海外が関係する商い」の全体像を伺うことが出来ると思っています。
経験の浅い私が、比較的低リスクで、商いのイロハを学んでいると受け取っていただいても良いかな?
何はともあれ、その情勢や私なりの考えを書かせていただくことが、中古自転車と関わりのない読者の皆様にとっても、ケツ拭き紙くらいの役に立つだろうと考えて書いています。
さて、このたびの当社買取価格の変更では、ママチャリが800円/台に、ストレートが500円/台になったわけですが、実はこの価格は大きな意味を持ちます。
ママチャリの800円/台という価格で説明しようかな。
長年の間、日本の港時点でのママチャリ価格というのは、15 USドル/台 というのが不動の相場でした。
1ドル=80円のタイミングであれば1200円/台、1ドル=120円のタイミングであれば、1,800円ということになります。
弊社のように、コンテナ積みを自社でやっている会社に到着した自転車が、保管、仕分け、解体、積み込み、港までの輸送・・・等々のプロセスを経て、日本の港へ到着するまでに要する費用っていくらぐらいだと思います?
私は一台あたりおよそ、400円と試算しています。
直接的な人件費や、外部の会社から来る請求書だけで考えると、もちろんもっと安いです。
しかし実際には土地代、フォークリフトの燃料代、工具などの備品代、事務に要する間接的な人件費等々、目に見えにくい経費などを含めると、1台400円くらいになると思います。
ということは、1ドル80円のタイミングで800円、1ドル120円のタイミングで1,400円くらいが仕入価格の上限ということになります。
現に当社でも、1ドル=120円のタイミングでは、ママチャリの買取価格は1台1,400円としていました。
今は1ドル=100円なのに、ママチャリの買取価格は1台800円。
おかしいんじゃないの?
実はそこが、「大きな意味を持つ」と申し上げている点です。
長年にわたって保たれてきた、「日本の港時点でのママチャリ価格、一台 15 USドル」という価格が崩れ始めているのです。
ハッキリ言えば、1台13ドルほどになっているんです。
これは大問題なのですわ。
海外へ輸出される中古自転車の多くは、いわゆる「撤去自転車」です。
引き取り手が現れなかった不法駐輪の自転車などが、結果として海外へ輸出されている訳なんですが、当然ながら自転車が撤去されてから当社に到着するまでの間にも、様々なコストを要しています。
回収されている会社の人件費、燃料代等のコスト、当社のコスト、両社の少しばかりの利益など、収集から流通までに要する様々な費用が、「日本の港時点で15ドル」という価格に含まれている訳です。
為替や需要の状況によって、利益が多めに出たタイミング、利益が出ないタイミングなど、そりゃ色々とありましたが、「撤去自転車の流通システム」とでも呼ぶべきシステムは、「1台15ドル」という価格を前提に成り立っていたのが実態です。
これを下回ってくると、撤去自転車の流通システムが崩壊します。
撤去自転車という原価が安い商品といえども、土地代、車両関係費、燃料代、人件費など、様々なコストがかかる訳です。
「15ドル」という価格が崩れると、これらの費用を賄いきれなくなって来るケースが増えてくるんですね。
結果、現在の流通システムが崩壊してしまう。
そういう時期に差し掛かろうとしているということで、「大きな意味を持つ」と申し上げております。
この大きな変化ですが、従来であれば「雨季が終われば何とかなる」とか、「しばらくの我慢」という考え方で良かったのだと思います。
事実、そういう考え方で、利益度外視の商いを続けている業者(中国人に多い)もおります。
しかし私は、ある程度の時間が経過すれば状況が変わる問題ではなさそうだと考えています。
問題の原因は何か? ということを突き詰めると、やはり「新品のダンピング攻勢」による影響が大きいという結論になります。
したがって、新品のダンピング攻勢が終わるまで、雨季が終わろうが何であろうが、状況は変わらないという判断が続くであろうと予想しています。
じゃあ、新品のダンピング攻勢は、いつ終わるのか?
終わらない・・・。 少なくとも、数年単位で。
このように考えるのが、無難だと思います。
少なくとも、無理やりにでも売り上げを保たなければならない、中国自転車メーカーとの体力勝負になってしまいます。
こんなバカバカしい、不毛な戦いをするべきではありません。
現状を簡単に言えば、こんなところでしょうか?
結論は簡単(?)でして、何か大きな変化を加えない限り、中古自転車業界で生き残っていくことはできない・・・ということです。
このままではジリ貧どころか、累積赤字が積みあがっていくことになります。
じゃあどうするか?
それは企業秘密に決まってるじゃないですか!
・・・と言いたいところですが、自分ひとりだけでは生き残っていけないのが世の中というものです。
ある程度、皆で力を合わせないと、パイを独り占めするどころか、パイ自体が無くなってしまいます。
情報を垂れ流しすぎても、自分の商いにとってデメリットなのですが、関係する皆さんと共通の状況認識がないと、商いができない。
さじ加減が大変難しいのですが、対処に結び付くような情報提供をさせていただいて、皆さんとともに荒波を乗り切っていきたいと思います。
時間切れなので、今日はここまでとさせていただきます。
今日は月末なんで、チョイとバタバタしますんで。
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