サイクルオペレーション株式会社
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たまに覗くから面白い!毎日見ないでぇ・・・飽きるから。。 2016/9/12
出張を終えて
Posted Date:2016/09/12(Mon) 05:53
今回の出張でも色々なことがありました。
一週間にも満たない日程なのですが、日本の一か月分くらい色々な出来事がある。
良い事、悪い事様々なのですが、「色んな事が起こる」という刺激の多さが、キツイ海外出張を乗り越えるモチベーションになっているのは間違いありません。
さて、今回の出張における最大の収穫は、中古自転車に関する持論に対する確信を持てたということでしょうか。
私の持論はこうです。
現在中古自転車の販売価格が下落しているため、国内業者の状況は厳しいです。
採算割れを起こし、事業からの撤退や縮小を図らざるをえない業者も相次いでいます。
販売価格が下落している原因は、海外での需要が減少しているためです。
需要が減少すると、価格が下落するのは自然の成り行き。
では、いつになったら需要が回復、あるいは供給が減少することにより、価格が回復するのか? ・・・という話になります。
結論から申し上げると、「価格は上昇しない」です。
その理由を今回の調査から申し上げますね。
まず、「需要が減少」の理由です。
現在、東南アジアなどでは雨期の真っ最中ですから、ただでさえ需要が減少する時期です。
同業者の多くも、これを現在の価格低迷の原因だと考えていると思います。
「雨期が終われば、価格も上がるだろう」と。
国内の厳しい状況に活路を見出している方もいるでしょう。
「業者の数が減り、供給量が減れば、価格も上がるだろう」と。
どちらの考えも、誤りであるというのが、私の感触でした。
低迷の元凶は、「新品中国製自転車の、無茶苦茶なダンピング」だと考えていたからです。
7月から8月にかけての大幅な価格下落の背景には、必ずこの問題が絡んでいると思いましたので、新品自転車の価格調査の旅・・・に出かけてきました。
上の2枚の画像は、東南アジア某国で売られている、新品中国製自転車の画像です。
上が26インチ、下が24インチの大人用自転車です。
我々の競争相手は、コレです。
「新品の中国製自転車を買うか、中古の日本からの自転車を買うか」
発展途上国の消費者が自転車を買う際、この2択で選んでいます。
中国製の新品自転車ですが、いくらぐらいだと思います?
日本でも、最近では1万円を切った値段で売られていますよね?
日本向き仕様は、安全基準やら何やらの問題で、中国製と言えども一定の品質をクリアしています。
しかしおそらく発展途上国向きに関しては、低コストだけを売りにした商品になっているのでしょう。
私はひょっとしたら、50ドル、日本円で5,000円程度で、新品の中国製自転車が売られているのではないかと予測していました。
中古自転車の価格変動を見ていると、そのくらいの覚悟をしました。
従来この国では、キレイにリビルドされた中古の日本自転車が4,000円ほどで売られていました。
それに対して、新品を5,000円程度で売られたのでは、中古自転車屋にとっては、たまったものではありません。
で、調査の結果・・・
中国製新品は、40ドル強で売られていました。
中国製の新品自転車、40ドル強。
日本からの中古自転車、40ドル弱。
それが今の相場です。
すごいですね。
日本からの中古自転車。
中国製の新品と、ほぼ同じ値段で売られているのです。
日本への信頼感を示す実例以外の何物でもありません。
他人事なら喜ばしい話ですが、新品を40ドルで売られると、たまったものではありません。
輸出先国でのリビルド費用って、平均するとどこの国でも10ドルくらいです。
人件費は安いんですが、部品の価格はある程度世界共通なんで、部品代が高くつきます。
シートやブレーキワイヤー、チェーンなどを交換し、カゴなどの追加パーツを取り付け、サビを落として再塗装し、ピカピカの状態で店頭に並べるための経費です。
小売店の利益が5ドルだとすると、店頭価格マイナス15ドルくらいが、現地国の小売店への販売価格になります。
ということは、新品と同じ40ドルで売れるとしても、25ドル以内が現地国での小売価格です。
日本から海外で小売りするまでの輸送費、税金などは、1台あたり約12ドルです。
ということは、新品と同じ40ドルで売れるとしても、日本の港でのFOB価格は、25‐12=13ドル。
ヤード到着時点から、港へもっていくまでの費用は1台あたりおよそ400円なので、13ドル‐400円=約900円が、日本業者のヤード原価という事になります。
お断りしておきますが、「日本業者のヤード原価」と申し上げた900円という値段は、厳しい前提での原価です。
・規格外自転車=低価格でしか売れない自転車が混入するなどの、ロスが「完全にゼロ」であること。
・X線検査など、不意の出費が一切発生しないこと。
こんな感じですね。
実際には、2~3%のロスは必ず出ています。
ママチャリを入れたつもりがストレートだったとか、このような不作為のロスが発生するのです。
子供乗せ自転車が入っていたりすると、ロスが非常に大きいですね。
あんなもん、サービス品にしかなりません。
ついでに言っておくと、日本の輸出業者の純利益ゼロ、相手国の輸入業者の純利益ゼロという前提での価格です。
前提と言うなら、中国製新品自転車と同価格で売れるという前提での価格です。
その前提で、現在の当社ママチャリ買取価格は、1台800円。
話の分かる同業者さんたち、無理はやめましょうね。
700円まででしか、買ってはいけないのが定石でしょう。
私が輸出商組合の親方だったら、公定価格として仕入価格700円以下を周知したいくらいです。
もちろん、そんな組合はありませんが(笑)
「送り先国が違えば、価格は違う」という考えも、基本的には間違いです。
アジアであろうが、アフリカであろうが、地球の裏側であろうが、確実に中国製新品という魔の手(?)はやって来ます。
関税や運賃の違いで小売価格は違っても、逆算していくと、「ママチャリFOB価格で、12~13ドル」
こんな結果になるんですよ。結局。
そして12~13ドル原価という厳しい現実も、「日本の中古自転車が、中国製新品と同価格で売れる」という、驚異的なブランド力を背景にした上での、破格の扱いである。
これが結論でございます。
ブログをお読みの方の中で、中古品の貿易屋さん、あるいは中古自転車を取り扱っている業者の方がいらっしゃれば、申し上げておきます。
今日の数字に、嘘偽りはありません。
だからね、そのような相場が続く、あるいは円高や中国のダンピングで、さらに下落するという想定をもとに、事業を考えてください。
品質の落ちる自転車を積んで、信用を無くすと、二度と買ってくれなくなります。
ギリギリの価格設定をしているのに、輸送費や税金を考えるとアシが出るような商品を送ってこられたら、現地の人はキレます。
「日本からの高品質の物」
というブランドイメージを壊さないような商品を送らないと、マーケット全体を壊すことにもなりかねません。
この現状に、各社どのように対応するかは、皆さんそれぞれでしょう。
ウチの方針も、ある程度まとまりました。
日本から送られてきたものに対する需要は、間違いなくあります。
ただし従前のように「何でも良い」のではなく、「日本からの高品質なモノ」が求められているのです。
発展途上国が豊かになり、それで高品質のモノを欲しているのではなく、中国製の新品が安いからであるということ。
その認識を誤ると、事業の方向性を誤ることになります。
ちょっとエラそうな話になりましたが、レポート終了です!
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