サイクルオペレーション株式会社
ブログ記事サイクルオペレーション株式会社
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「埋蔵携帯」の価値
投稿日時:2017/09/20(水) 06:48
貴金属含有スクラップを取り扱う業者の皆さんなら、すでにニュースをご存知かと思います。
使われずに自宅で保管されている携帯電話「埋蔵携帯」の価値が、総額1兆7013億円に上るとの試算結果が、先日発表されました。
記事を読むと、「そんななわけ、ねーだろ!?」と鼻で笑ってしまいます。
あくまで試算された数値ですから、目くじらを立てるような話ではありませんし、ケチをつけるつもりでもありません。
試算を実施した主体が、どうやらリユース啓発を目的としているようですので、ここは何も言わずに黙って一人で笑っていれば良いのですが、勘違いをする人が増えると、それはそれでウチのようなメタルリサイクル会社にとっては迷惑。
したがって、なぜ私が鼻で笑うのかくらいの話には、触れさせていただきます。
話はそれほど難しくなく、試算方法に関する見解の相違が、一番のポイントです。
「総額1兆7013億円」の計算方法として、まずは「使われていない携帯台数」を試算しています。
「1人あたりの携帯電話の保有台数」から、「携帯電話の契約台数を差し引いたもの」を、使われていない携帯台数=「埋蔵携帯」として言うようです。
私の方では、携帯電話の契約台数なら簡単にネットで検索できるものの、1人あたりの保有台数はデータがありません。
したがって、埋蔵携帯の台数については、言い値(?)で結構です。
問題は、埋蔵携帯の台数に対して、「中古携帯の平均買取価格」をかけて、総額1兆7013億円という数字が弾き出されている点でしょう。
少し考えれば…いや、考えなくても分かりますわな。
中古携帯としてリユース店に持ち込まれる携帯電話は、リユース品として比較的価値が高いものが多い。
もちろん、1台100円の評価しかされない携帯もリユース店に持ち込まれるでしょうが、iphoneをはじめとしたリユース品として価値が高いものが多く持ち込まれると考えるのが自然。
つまり、中古携帯の平均買取価格は高価格で、リユースされずに眠っている埋蔵携帯の平均買取価格は、低価格である。
間違いなく、そういうことになります。
そこが一番、試算が狂う点となるでしょう。
業界事情に詳しくない人でも、何となくお分かりいただけるかと。
それにしても、「埋蔵携帯の台数」って、何台あると試算されているんでしょうねえ?
う~ん。
1億2,000万人が、一人あたり3台の埋蔵携帯を持っているとすると、3億6,000万台。
1兆7,013億円を、3億6,000万台で割ると、一台あたり4,725円ほど。
生まれたての赤ん坊から、死にかけの年寄りまで、全国民が一人あたり3台の埋蔵携帯を持ち、かつ、リユース店で一台平均4,725円で売れるほど、人気の携帯電話を持っている。
こういう試算なら、埋蔵携帯の価値が、総額1兆7013億円に上るとの試算が成り立ちます。
いくら試算とはいえ…ねえ?
仮に3億6千万台の埋蔵携帯があるなら、その価値は1台100円計算で、360億円。
360億円の価値がある貴金属、レアメタルが死蔵されていますよ…というのが、正しい。
あ、埋蔵携帯として残る、古い携帯電話であっても、ガラケーからスマホに切り替わって来ています。
スマホは価値が低いからね。
年式が新しくなるほど、貴金属やレアメタルの使用量は減少傾向にあるし、重量あたりの含有量で言えば、スマホはガラスの重量が重いので、資源価値としては低いんです。
ガラケーばかりならば、AU0.04%くらいは出ます。
金価格4,000円だと、キロあたり1,500円くらいになりますか。
ガラケー1台あたりの重量って、バッテリーを除くと当然100gもありませんから、1台あたり100円ちょっと。
スマホなら、重量は重くなるけど、キロあたりの含有量が低いので、さらに安くなる。
埋蔵台数に100円をかけた数値が、埋蔵携帯の価値である。
それが、より実態に近い試算です。
…と、貴金属リサイクルに従事する者なら、言うことでしょう。
まあ、埋蔵携帯なんてモノが発生する諸悪の根源は、「SIMロック」なんていう、クソッタレな方法が多く採用されていることにあります。
SIMロックについては詳しく申し上げませんが、例えばドコモ、AU、ソフトバンクなどの大手キャリアで携帯を購入した場合、中に入っているSIMカードを交換するだけでは携帯電話として使えないでしょ?
「???」と、意味が分からない方のために補足すると、例えばドコモで契約しているスマホの中には、ドコモのSIMカードが入っています。
そのSIMカードを、AUのSIMカードに入れ替えると、AUのケータイとして使えるか?
使えませんよね。
日本の大手キャリアで販売されているケータイには、SIMロックがかかっていて、自社のSIMカードしか使えないし、自社のSIMカードであっても、登録されたSIMカードしか使えないことも多い。
日本以外の国では、このSIMカードを入れ替えるだけで、どこの会社のSIMカードであろうが、即ケータイとして使えるのが当たり前なんです。
コレがSIMカードです。
このようにカードを刺して入れ替えるだけが、SIMフリー。
知らない人も多いでしょうが、SIMフリーなら、SIMカードを入れ替えるだけで、どこの国でも使えます。
私だって、海外出張に出る機会が多くなるまで知りませんでした。
今は、「SIMフリー」(SIMカードを差し替えるだけで、キャリアを制限されずに使える)のケータイも日本で増えてきましたから、知っている人も増えてきたと思いますが。
いずれにせよ、「SIMカードを入れ替えても、使えない」という日本独特の商習慣により、携帯電話のリユースが妨げられているのは事実。
かつてのように、日本の携帯電話のほとんどが日本メーカー製という状況であれば、リユースを推奨せずにバンバン新品を売っていく方法もアリでしょうが、今のように海外メーカー製が大多数を占めているような状況だと、リユースを推奨した方が良いように思います。
日本の大手キャリアも、一定のルールの下でSIMロックが解除できるような流れになってきていますが、ロック解除を「して頂く」のではなく、世界標準であるSIMフリーの日本になりますように。
SIMフリー携帯を手に入れるのは簡単ですよ。
iphone を使っている人なら、キャリアで端末を購入せずに、アップルストアで端末を購入すれば、自動的にSIMフリーの端末が手に入ります。
それ以外でも、ネットで端末を購入すると、SIMフリーの端末が多く販売されています。
「実質ゼロ円」などという言葉に踊らされ、ランニングコストが高く、中古価格が激安になる端末をキャリアで買わないようにすれば、自然とSIMフリー社会になるんですけどねえ…。
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