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海外取引に潜むリスク その1 SOLAS条約改正

投稿日時:2016/06/03(金) 06:16


今日のお話は、「海外取引に潜むリスク」です。





海外取引に様々なリスクが潜んでいることは、皆さんも何となくイメージできるかと思います。


弊社のように、ささやかな貿易を行っている会社でも、為替の変動、輸出入事情の変化など、様々な問題に直面しますし、常時これらに対応していく必要があります。





このテーマに関して2つのお話があるのですが、内容が大きく異なりますから、2回に分けて書かせていただきますね。


まず一回目は、「7月1日から輸出事情が変わる」というお話です。





5月31日、弊社が輸出業務を依頼している複数社から、一斉にメールが届きました。


お役所的なカタイ言い方をすると、「SOLAS条約改定による、輸出コンテナ総重量の確定方法の制度化」についてのメールです。





これじゃあ何のことか、訳が分からないと思いますので、簡単に申し上げますね。





これまで輸出コンテナの総重量は、「適当に・・・」というと語弊がありますが、「机上の計算では、この重量」という重量を申告して輸出してきました。





例えば大人用の自転車100台の重量を計測すると、1,500kgになるとします。


すると平均値は1台あたり15㎏です。


500台積むならば、15kg×500台で7,500kgだから、7,500kgを貨物重量とする・・・というやり方を行ってきました。





一台ずつ自転車を計測していくと、14kgの自転車があったり、16kgの自転車があったりと、多少のバラつきはあるのですが、このやり方でも大きな誤差が発生することはありません。


確率の話になるのか何になるのか、数学的な話は苦手ですが、皆さんもこのことはお分かりいただけると思います。





しかし少なくとも、数十キロ単位で誤差が出るのは確実です。


場合によっては、100㎏単位の誤差が出るかもしれません。





実際には、もっといい加減な方法で重量を計算したり、あるいは始めから計算する気などなく、適当に数字を書き込んでいるだけの業者も少なくないでしょう。


日本人って結構数字に細かいですが、外国人は自分のカネの計算以外の数字に関しては、本当にテキトーですから。





実際のところは知る由もありませんが、コンテナ重量の誤申告等が原因とみられる荷崩れ事故を防ぐため・・・ということで、「キッチリ重量を計測しろ」ということになりました。


それがSOLAS条約(海上人命安全条約)改正であり、それによって国土交通省令が改正され、新たな告示が出たということです。





う~ん。


どうしても難しい話になるな。




国土交通省というお役所が、「オマエら、コンテナの重量を正確に測れ!」と言ってきたので、これからは、それに従わなければならない。


まあ、そういう事です。





お役所のいう事には逆らえないのが世の中ですので、我々は今後、輸出コンテナの重量を正確に計測しなければならなくなります。


自社でトラックスケールを保有している業者は問題ありませんが、トラックスケールを保有していない輸出業者は、代金を支払って、どこかで計量してもらわなければならなくなります。





つまり輸出経費が増大する訳です。





コンテナ一本を輸出して、数十万円あるいは数百万円の利益が見込めるなら問題ありませんが、現状では数万円とか、消費税分だけが利益というような現状では、輸出経費の増加はボディブローのように効いてきます。





今回の変更は、「輸出事情の変化による収益悪化」という事になりますね。


家電輸出の取扱基準変更などと比べれば「屁」みたいなものですが、常に情勢は変化しており、これに対応していかなければならないということです。





ついでに一つ、重大な変化を。


ベトナム向けの中古製品輸出が、大きく変化する可能性があります。





これはベトナムサイドの法令改正ですので、輸出先国の情勢変化です。


一言でいうと、「ベトナムに中古製品が輸出できなくなる可能性がある」という、非常に大きな問題です。





中古機械、農機など、ベトナムに向けては様々な中古製品が日本から輸出されているのですが、これが事実上ストップしてしまうかもしれないのです。


輸出自体が止まるか、税金がアップするか、賄賂の金額が上がるか、はたまた何も変わらないか、しばらく時間が経ってみないと、本当のところは誰にもわかりません。




本当にエエ加減な話なのですが、それが発展途上国との貿易における常識(?)です。





まあ一か月から数カ月の間、ベトナムが主力輸出先である中古製品は、買い止め、あるいは大幅な価格下落という事になりますね。


ベトナム以外の、他国での販売可能量だけを、現地販売額に基づいた価格で仕入れることしかできないという事です。





過去に何度も同じようなことがあり、それを乗り切って来た訳ですが、今回は「本当にヤバい」という雰囲気が漂っています。


ウチもしばらく、ベトナム向けの中古商品からは逃げ腰です。





皆さんもお困りなのは百も承知ですが、ウチはウチで「この在庫、どないしてくれるねん!?」ですので、悪しからず。





貿易って、本当に怖いですねえ。


 

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